国宝・油滴天目茶碗
こくほう・ゆてきてんもく ちゃわん南宋時代・12-13世紀 建窯 径12.2cm
住友グループ寄贈(安宅コレクション 登録番号 00559)
Photograph KAZUYOSHI MIYOSHI
天目は黒釉の碗という意味にも使われています。この名称は中国の浙江省北部の天目山に由来しているといわれます。油滴天目は福建省にある建窯で焼かれたもので「建盞(けんさん)」とも呼ばれています。水面に浮かぶ油の滴のようにみえる金・銀・紺に輝く斑点から油滴と呼ばれています。油滴は釉薬に含まれる鉄分が釉の表面で結晶したもので、中国では「滴珠」と呼ばれています。口縁部に施された金覆輪は、口縁部を補強するためのものですが、見た目にもアクセントになっています。本品は鎌倉時代に日本にもたらされ、関白豊臣秀次が所持し、のち西本願寺、京都三井家、若狭酒井家に伝来しました。南宋時代の漆の天目台3点が添えられています。