国際交流特別展「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」
概要
本展は中国の河南省文物考古研究所が近年進めてきた河南省宝豊県清凉寺(かなんしょう ほうほうけん せいりょうじ)の北宋汝窯(じょよう)青磁窯址の考古発掘成果を日本で初めて紹介する展覧会です。北宋汝窯の伝世品は北京・台北の両故宮博物院をはじめ世界でも数少ないもので、日本では当館所蔵の「青磁水仙盆」が知られています。北宋末期、北宋宮廷の命により宮廷用の青磁製品を製作した汝窯は、「天青色(てんせいしょく)」とも呼ばれる青みがかった独特の釉色と精緻なつくりで知られ、中国の青磁を代表するものの一つとして評価が高いものです。本展は宝豊県清凉寺汝窯窯址の出土資料約80点により、北宋汝窯青磁の謎と魅力に迫ります。なお、本展では近年汝州市内で発見され注目されている張公巷(ちょうこうこう)窯址の出土資料の一部も併せてご紹介します。
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開催要項
- 名称:
- 国際交流特別展「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」
- 会期:
- 平成21年12月5日(土)~平成22年3月28日(日)
- 会場:
- 大阪市立東洋陶磁美術館
大阪市北区中之島1-1-26(大阪市中央公会堂東側)
・京阪中之島線「なにわ橋」駅下車すぐ
・地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」、
地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜」各駅から約400m - 休館日:
- 月曜日(12月14日、21日、1月11日、3月22日は開館)、年末年始〈12月28日(月)~1月4日(月)〉、1月12日(火)、
2月12日(金)、3月23日(火) - 開館時間:
- 午前9時30分~午後5時
・「OSAKA光のルネサンス2009」開催中の
12月12 日(土)~25日(金)は午後9時まで
・入館はいずれも閉館の30分前まで - 主催:
- 大阪市立東洋陶磁美術館、河南省文物管理局、
読売新聞大阪本社 - 特別協力:
- 河南省文物考古研究所
- 協力:
- 日本航空
- 後援:
- 中華人民共和国駐大阪総領事館
- 料金:
- 一般900円(750円)、高大生600円(450円)
・( )内は20名以上の団体料金
・身体障害者手帳、ツルのマーク付健康手帳、大阪市敬老優待乗車証などをお持ちの方、中学生以下は無料
- 展示点数:
- 約80点
- 同時開催:
- 特集展:初代宇野宗甕(そうよう)の陶芸
平常展:安宅コレクション中国陶磁・韓国陶磁
李秉昌(イ ビョンチャン)コレクション韓国陶磁、
日本陶磁、沖正一郎コレクション鼻煙壺 - 問い合せ:
- 大阪市立東洋陶磁美術館
電話06-6223-0055 Fax 06-6223-0057
講演会・シンポジウム
- (1) 講演会
- 日時:
- 平成21年12月5日(土) 午後1時30分~4時
- 場所:
- 大阪弁護士会館・10階会議室
- 定員:
- 120名(参加費無料・先着順・当日午前11時30分より会場にて整理券配布)
- 内容:
- 「宮廷生活における汝窯と宋代官窯青瓷」
劉朝暉氏(上海・復旦大学文物與博物館学系副教授)
「汝窯について」
出川哲朗(当館館長) - (2) 国際シンポジウム「北宋汝窯青磁の謎にせまる(仮題)」
- 日時:
- 平成22年3月13日(土)、14日(日)
- 場所:
- 大阪歴史博物館・講堂
- 定員:
- 250名(参加費無料・先着順)
- 内容:
- 中国、台湾、韓国、日本の研究者が汝窯に関する最新の研究成果を発表
・本シンポジウムは財団法人ポーラ美術振興財団の助成によるものです。
[シンポジウム詳細はこちら]
主な出品作品
青磁輪花碗
せいじ りんかわん
高 :10.2cm
宝豊清凉寺窯址出土
河南省文物考古研究所
成熟期の汝窯で最も多い器型が碗で、全体の約28%を占めます。碗は口縁部や胴部の造形の差によりいくつかのタイプに分けられます。これは十弁の花弁状にかたどったタイプの碗で、蓮の花をイメージしたものと考えられます。かなりの修復が施されています。類品が台北の故宮博物院にあり、伝世汝窯の代表作の一つとして知られています。
青磁刻花龍文瓶
せいじこっか りゅうもん へい
高 :30.4cm
宝豊清凉寺窯址出土
河南省文物考古研究所
比較的大きな盤口(盤状の口)が付く瓶で、かなりの修復が施されています。胴部には刻花で龍文が表されています。龍は天空を駆け、口からは火焔珠(かえんじゅ)を噴き出しています。汝窯で文様のある例は伝世品では知られていませんでしたが、清凉寺窯址からは各種文様のある例が少なからず出土し、汝窯は文様がほとんどないという従来の汝窯の認識を改めることになりました。
青磁鴛鴦形香炉蓋
せいじ えんおうがたこうろふた
高:15.0cm
宝豊清凉寺窯址出土
河南省文物考古研究所
一羽の鴛鴦の飾りが付いた香炉の蓋です。蓋本体は蓮の花托を模しており、蓋表には蓮の実が粒状に表現されています。鴛鴦は型により成形されたもので、羽毛の細かな線も表現されています。黒眼の部分は鉄釉(泥)を点じ、表現しています。小さな両翼の表現が何とも愛らしさを感じさせます。伝世汝窯に類例はありませんが、鴛鴦形香炉は北宋景徳鎮窯の青白磁や高麗青磁にも類例があり、とりわけ高麗青磁と汝窯のつながりはこうした類例の出現により一層明らかになりました。