青磁獅子形香炉蓋
(せいじ ししがたこうろふた)高麗時代・1131年以前
忠清南道泰安郡泰安船出土
高13.9㎝、底径11.0㎝
韓国国立海洋文化財研究所蔵
写真:六田知弘
獅子をあしらった香炉の蓋です。香煙は獅子胴体の空洞を通って獅子の口から出るようになっています。動物の形を蓋の飾りに使った香炉は、他にも龍、鴛鴦(えんおう)、麒麟(きりん)などいくつかあります。本作の獅子は、角のように立つ鼻に、四角形の口を開けて牙を見せ、胸には鈴が付けられています。横へ広がった両眼は鉄の顔料で点じ、前、横、後ろ、真上のどこからも、見る側と目が合うようになっており、見つめられているような強い力が感じられ、不思議な雰囲気を醸しだしています。顎下の髭、舌、背面の鬣(たてがみ)の線刻文による表現など、現存の作品には見られないユニークな造形です。