青花鉄砂 葡萄山水文 八角形水滴 「癸卯六月日分院」銘
せいかてっしゃ ぶどうさんすいもん はっかくがたすいてき朝鮮時代・1783年
高13.1㎝、幅19.4㎝
登録№01044
写真:六田知弘
全体を八角に面取りし、その各面に中国の山水画の有名な画題「瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)」を描いた水滴です。上面にはやはり文人が好んだ画題である葡萄図が生き生きと描かれ、さらに「海駝(ヘテ)」と呼ばれる伝説上の動物を注ぎ口と把手に貼付け、鉄砂で装飾性を高めました。呼びかける雄に応えるかのように、注ぎ口の雌が振り向いています。海駝は韓国の伝説上の獣で、水中に棲み、多量の水を腹に収めて吹き出すと言われています。そのため、火災や災難を追い払う神として信仰され、水と関連ある水滴や建築物に用いられてきました。水滴としては驚くほど大きい作品ですが、文様の表現や作行きは丁寧で、朝鮮水滴の代表作の一つとされます。器底に「癸卯六月日分院」(きぼう ろくがつひ ぶんいん)という銘があり、癸卯は1783年に当たると思われます。